法人化しない理由とは？5つのデメリットと法人化以外の選択肢を解説

2024年6月25日2024年8月7日

サブスくん

「法人化って本当に必要？」

「手続きや費用が面倒だな…」

「社会保険料や税金が増えるのは避けたい」

個人事業主として活躍するあなた、そんな風に悩んでいませんか？

法人化にはメリットがある一方で、デメリットやリスクも存在します。

安易に法人化してしまうと、かえって事業の成長を妨げてしまう可能性も…。

でも、安心して下さい。

この記事では、法人化しない理由やデメリットだけでなく、法人化以外の選択肢、個人事業主のままでも事業を成長させる方法まで詳しく解説します。

この記事を読めば、法人化に関する疑問や不安が解消され、あなたにとって最適な選択ができるようになるはずです。

法人化しない5つの理由

法人化しない理由は人それぞれですが、ここでは代表的な5つの理由を、具体例を交えながら詳しくご紹介します。

理由1：手続きや費用が面倒

法人化には、定款の作成や登記申請など、煩雑な手続きが必要です。

例えば、定款は会社のルールブックのようなもので、法律で定められた事項を記載する必要があります。

また、登記申請は法務局で行いますが、書類の準備や申請手続きに時間がかかる場合があります。

さらに、登録免許税や司法書士への報酬など、費用もかかります。これらの手間や費用を負担に感じる方が多いようです。

具体例: 個人事業主Aさんは、本業で忙しく、法人化の手続きに時間を割く余裕がありませんでした。また、司法書士に依頼すると費用がかかるため、自分で手続きを進めようとしましたが、専門的な知識が必要で断念しました。

理由2：社会保険料の負担が増える

個人事業主の場合、国民健康保険と国民年金に加入しますが、法人化すると健康保険と厚生年金に加入する義務が生じます。

社会保険料は会社と折半ですが、個人事業主として支払っていた国民健康保険料や国民年金保険料よりも高くなる可能性があります。

具体例: 個人事業主Bさんは、従業員を雇用しておらず、自分一人で事業を行っています。法人化すると、自分自身の社会保険料の負担が増えるため、法人化をためらっています。

理由3：赤字でも税金を払わなければならない

法人には、たとえ赤字であっても法人住民税均等割という税金が課されます。

個人事業主の場合は、赤字であれば所得税はかかりませんが、法人化するとこの均等割を支払う必要があります。

具体例: 法人C社は、設立初年度に赤字を出してしまいました。しかし、法人住民税均等割を支払う必要があり、資金繰りが厳しくなりました。

理由4：資金繰りの難易度が上がる

法人化すると、個人事業主よりも資金調達の選択肢は広がりますが、その一方で、資金繰りの難易度が上がる場合があります。

例えば、金融機関からの融資を受けるためには、事業計画書の作成や担保の提供が必要になることがあります。また、赤字が続くと、融資を受けにくくなったり、金利が高くなったりする可能性もあります。

具体例: 法人D社は、事業拡大のために金融機関からの融資を希望しましたが、十分な担保を提供できず、融資を受けられませんでした。

理由5：複雑な会計処理や税務申告が必要になる

個人事業主の会計処理や税務申告は比較的シンプルですが、法人化すると、複式簿記による会計処理や法人税、消費税などの税務申告が必要になります。

専門的な知識が必要となるため、税理士に依頼するなど、別途費用がかかる場合があります。

具体例: 個人事業主Eさんは、法人化後に複式簿記の知識が必要となり、会計ソフトの導入や税理士への依頼を検討しました。

これらの理由から、法人化にはメリットだけでなくデメリットも存在することがわかります。

法人化するかしないかは、あなたの事業の状況や将来の展望などを考慮して、慎重に検討する必要があります。

法人化しないことによるデメリット

法人化しない場合、以下のようなデメリットが生じる可能性があります。

これらのデメリットを理解し、あなたの事業にとって法人化が必要かどうかを慎重に検討しましょう。

デメリット1：社会的信用度が低い

一般的に、法人よりも個人事業主の方が社会的信用度が低いとされています。

これは、法人の方が事業の継続性や安定性が高いと見なされるためです。

例えば、取引先や金融機関は、個人事業主よりも法人との取引を優先する傾向があります。

これは、法人の方が契約履行能力や支払い能力が高いと判断されるためです。

また、社会的信用度が低いと、優秀な人材の確保が難しくなることもあります。

求職者は、安定した経営基盤を持つ企業で働きたいと考えるため、個人事業主よりも法人での就職を希望する傾向があるからです。

具体例: 個人事業主Aさんは、長年取引のある大手企業から、法人化を条件に契約継続を打診されました。Aさんは、個人事業主のままでは取引を継続できない可能性があることを知り、法人化を検討せざるを得なくなりました。

デメリット2：資金調達が難しい

法人の方が、金融機関からの融資を受けやすい傾向があります。

これは、法人の方が事業計画や財務状況が明確であり、返済能力が高いと判断されるためです。

一方、個人事業主の場合、信用力の確保や担保の提供が難しい場合があり、資金調達に苦労する可能性があります。

事業拡大や設備投資に必要な資金を調達できない場合、事業の成長が阻害されるかもしれません。

具体例: 個人事業主Bさんは、事業拡大のために新たな設備投資を検討していました。しかし、金融機関からの融資を受けられず、自己資金だけでは資金が不足するため、設備投資を断念せざるを得なくなりました。

デメリット3：個人事業主としての責任が重い

個人事業主は、事業で生じた債務に対して、個人資産を含めて無限責任を負います。

これは、事業が失敗した場合、自宅や預貯金などの個人資産を売却してでも債務を返済しなければならないことを意味します。

一方、法人化すると、原則として会社の資産のみで責任を負う有限責任となります。

つまり、万が一会社が倒産した場合でも、個人の資産は守られる可能性が高くなります。

具体例: 個人事業主Cさんは、事業が失敗し、多額の債務を抱えてしまいました。Cさんは、個人資産を売却して債務を返済しましたが、自己破産を余儀なくされました。

これらのデメリットを考慮すると、法人化は事業の成長や安定にとって重要な選択肢の一つであると言えます。

しかし、法人化にはメリットだけでなくデメリットも存在するため、あなたの事業にとって法人化が必要かどうかを慎重に検討することが重要です。

法人化以外の選択肢

法人化以外にも、個人事業主が事業を運営していくための選択肢があります。

それぞれのメリット・デメリットを理解し、あなたの事業にとって最適な選択肢を選びましょう。

選択肢1：任意組合

任意組合は、2人以上の個人または法人が共同で事業を行うための組織です。

法人格はありませんが、共同で事業を行うことで、信用力を高めたり、資金調達を容易にしたりすることができます。

任意組合は、契約によって自由に組織や運営方法を決められるため、柔軟性が高いというメリットがあります。

しかし、法人格がないため、社会的信用度が低く、契約や取引において不利になる場合があります。

具体例: 個人事業主BさんとCさんは、それぞれの得意分野を活かして共同で事業を行うため、任意組合を設立しました。法人化の手続きや費用を抑えつつ、共同で事業を行うことで、より大きなビジネスチャンスを掴むことを目指しています。

選択肢2：業務委託契約

業務委託契約は、企業や個人事業主が、特定の業務を外部の専門家に委託する契約です。

個人事業主は、自身の専門スキルや知識を活かして、企業や他の個人事業主から業務を受注することができます。

業務委託契約は、雇用契約とは異なり、労働時間や場所などの制約を受けずに、自由に働くことができるというメリットがあります。

しかし、安定した収入を得ることが難しく、社会保険などの福利厚生がないというデメリットもあります。

具体例: 個人事業主Dさんは、フリーランスのWebデザイナーとして、複数の企業からWebサイト制作の業務を受注しています。Dさんは、業務委託契約によって、自分のペースで仕事を進めながら、様々な企業のプロジェクトに携わっています。

選択肢3：個人事業主のまま規模を拡大

個人事業主のままでも、事業を成長させることは可能です。

信用力を高めるための取り組みや、資金調達手段の確保、事業計画の明確化など、様々な工夫をすることで、事業を拡大していくことができます。

個人事業主のまま事業を拡大するメリットは、法人化に伴う手続きや費用、税金、社会保険料の負担などを抑えられることです。

しかし、社会的信用度が低く、資金調達が難しいというデメリットもあります。

具体例: 個人事業主Eさんは、フリーランスのライターとして活動しています。Eさんは、自身のブログやSNSで情報発信を行い、積極的に営業活動を行うことで、クライアントを獲得し、個人事業主のまま事業を拡大しています。

これらの選択肢から、あなたの事業にとって最適なものを選びましょう。

法人化が必ずしも最善の選択ではない場合もあります。それぞれのメリット・デメリットを比較検討し、慎重に判断することが重要です。

個人事業主のままでも事業を成長させる方法

個人事業主のままでも、事業を成長させることは可能です。

ここでは、具体的な方法を3つご紹介します。

これらの方法を実践することで、法人化せずに事業を拡大し、成功へと導くことができるでしょう。

方法1：信用力を高める

個人事業主の場合、法人よりも信用度が低いとされていますが、様々な取り組みによって信用力を高めることができます。

具体的な方法

会計処理を適切に行い、決算書を作成する: 会計ソフトを活用して、日々の取引を正確に記録し、毎期決算書を作成しましょう。決算書は、事業の財務状況を客観的に示す資料であり、取引先や金融機関からの信頼を得るために不可欠です。
ホームページやSNSで情報発信をする: ホームページやSNSを活用して、事業内容や実績、お客様の声などを積極的に発信しましょう。情報発信は、あなたの事業を広く知ってもらい、信頼感を醸成する効果があります。
資格を取得する: あなたの専門分野に関連する資格を取得することで、専門知識やスキルを証明し、信頼性を高めることができます。
各種団体に加盟する: 業界団体や商工会議所などに加盟することで、事業の信頼性を高めることができます。また、団体が主催するセミナーや交流会に参加することで、人脈を広げ、ビジネスチャンスを掴むことも可能です。

具体例

個人事業主Aさんは、税理士に依頼して毎期決算書を作成し、ホームページで公開しています。また、積極的にSNSで情報発信を行い、フォロワーを増やしています。これらの活動が評価され、大手企業との取引を獲得することができました。

方法2：資金調達手段を確保する

個人事業主の場合、金融機関からの融資を受けにくい傾向がありますが、以下の方法で資金調達をすることができます。

具体的な方法

日本政策金融公庫の融資制度を活用する: 日本政策金融公庫は、小規模事業者向けの融資制度を設けています。無担保・無保証人で融資を受けられる場合もあり、個人事業主でも比較的利用しやすい制度です。
クラウドファンディングを活用する: クラウドファンディングは、インターネットを通じて不特定多数の人々から資金を調達する方法です。新しい商品やサービスの開発資金、イベント開催費用など、様々な用途で活用できます。
ファクタリングを活用する: ファクタリングは、売掛債権をファクタリング会社に売却し、早期に資金化する方法です。資金繰りが厳しい場合に有効な手段ですが、手数料が高いというデメリットもあります。

具体例

個人事業主Bさんは、クラウドファンディングで新商品の開発資金を調達しました。支援者へのリターンとして、新商品の先行販売や割引クーポンなどを提供し、多くの支援を集めることができました。

方法3：事業計画を明確にする

事業計画を明確にすることで、今後の事業の方向性を定め、目標達成に向けた具体的な行動計画を立てることができます。

具体的な方法

事業計画書を作成する: 事業計画書には、事業概要、市場分析、競合分析、販売戦略、財務計画などを記載します。事業計画書を作成することで、事業の課題やリスクを洗い出し、具体的な対策を検討することができます。
定期的に事業計画を見直す: 事業環境は常に変化するため、定期的に事業計画を見直し、必要に応じて修正することが重要です。PDCAサイクルを回し、事業を継続的に改善していくことが、成長の鍵となります。

具体例

個人事業主Cさんは、3年後の売上目標を達成するために、事業計画書を作成しました。計画書には、新規顧客獲得のためのマーケティング戦略や、業務効率化のためのシステム導入計画などが盛り込まれています。Cさんは、この計画書に基づいて具体的な行動計画を立て、着実に事業を成長させています。

これらの方法を実践することで、個人事業主でも十分に事業を成長させることができます。

法人化という選択肢にとらわれず、あなたの事業にとって最適な方法を選択し、成功を目指しましょう。